交通事故によって大きな傷を負った場合、治療や事故後の生活のため、他人の看護・介護が必要となる場合があります。こうした看護費用は、交通事故被害者本人の損害として、加害者に請求が可能です。
付添看護費が認められるかどうかの判断はケースバイケースですが、医師がその必要性を認めて指示したような場合や、受傷の程度から介護が当然必要といえるような場合、例えば後遺障害等級1級~3級というような重度の障害が残るケースでは、損害項目の一つとして考慮すべきポイントの一つです。示談交渉段階で保険会社が提示してきた支払予定額の明細に、付添看護に関する損害額がきちんと計上されているか、まず確認してみてください。
付添看護費は、その発生時期や内容によって以下のように別個の損害項目となりうるため、ケースに応じて請求しうる部分をそれぞれ別個に算出していきます。
(1)事故時~症状固定までの付添介護料
・入院付添費
・通院付添費
・自宅付添費
(2)将来の介護費用
入院付添や将来介護においては、職業的付添人に看護を依頼した場合、通常その費用全額が本人の損害となります。
親族など近親者が付き添っており看護費用が現実には支出されていないような場合であっても、その看護料相当額は本人の損害として判例上認められています。(最高裁昭和46年6月29日判決)※ただ、職業的付添人の看護料より低額になることが一般的です。
付添看護費用が問題になるような重度の障害が残ってしまうケースでは、その後に続く長い介護生活が、被害者ご本人とそのご家族に大きな負担を強いてしまうことも多いかと思います。損害の全てを賠償金でまかなうことは難しいかもしれませんが、少しでも獲得額を増やす方向での努力をさせていただければと考えております。
■最高裁昭和46年6月29日判決
交通事故により付添看護を必要とする傷害を受けた被害者が、近親者の看護を受けた場合、近親者の看護は肉親の情誼や愛情によってなされるものではあるが、その労働を金銭的に評価しえないものではない。被害者は加害者に対し、近親者の付添看護料相当額の損害賠償を求めることができる。